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静けさと癒しのひと時・・鹿威し

 日々の喧騒から少し離れて、心を落ち着ける場所を求めることは、現代人にとってとても大切なことです。そんな時、静かな日本庭園は、心の中の喧騒をすっかりと忘れさせてくれる場所となります。庭に吹く風や、優しく流れる水の音は、まるで自然が奏でる癒しのメロディーのように心に響きます。

 特に日本庭園に欠かせない存在の一つが「鹿威し(ししおどし)」。風に揺れる竹の音や、水が落ちる音は、静寂の中で響き渡り、心の奥深くまで染み渡るようです。ししおどしの音が響く度に、心が穏やかになり、自然と調和した感覚を味わえます。

  この「鹿威し」の由来は、京都のお寺の庭園で鹿が侵入しないように設置された仕掛けだったと言われています。竹の筒に水が流れ、一定の量に達すると竹が傾き、音を立てて水を落とす仕組み。この音が、鹿を驚かせて庭に近づかないようにしたのです。しかし、実際には鹿には学習能力があり、繰り返し同じ音が鳴ることで危険を感じなくなり、近寄ってくるようになるそうです。

 そんな「鹿威し」が、天王森泉公園に新たに設置されました。この小さな滝のそばに設置された鹿威しは、1階の畳の間からも見える位置にあり、まるで自然の一部のように溶け込んでいます。

 静かな空間で、鹿威しの音に耳を傾けながら過ごすひととき。日常の忙しさを忘れ、心が落ち着き、身が引き締まるような感覚を味わえることでしょう。